レーザー・光治療器の基礎知識
レーザー、光、高周波、超音波
電磁波
光 高周波 超音波 その他
紫外線 可視光線 赤外線
地球上には様々な電磁波が飛び交っている
そして、電磁波の中のひとつ、光にもいろいろな種類がある
波長とは
電磁波は、波
波なので、こういう動きをしながら電磁波が伝わっていく
太陽の光にはいろんな波長の電磁波が混ざっている
レーザー治療とは
キーワード:単一波長
なので、レーザーにはそれぞれ、固有の波長というものがある
アレキサンドライト 755
YAG 532 1064
ルビー 694
ダイオード 810
炭酸ガス(CO2)10600(単位はすべてナノメートル)
光治療器とは
キーワード:混合波長
ランプで発生させた光を、フィルターを通して必要な波長帯を取り出す(不要な波長帯をカットする)装置
なので、光治療の波長は、レーザーと違って幅がある
当院のM22 515~1200(実際使用するのは560~695)
ライムライト 520~1100
フォトシルクプラス 550~950
オーロラ 580~980
ナチュライト 560~1200
アキュチップ 500~635
波長帯としてはどれも似たような波長
レーザーと光治療器の違い
混合波長か単一波長か
当院のレーザー、光治療器がどの波長をカバーしているか
ちょっと見にくいですが、カバーしている波長の違いによって、得られる効果が全然変わってきます。
また、今回登場しなかった高周波、超音波は、光とは全然違う波長なので、このあたりにいます
ここまでで覚えておくこと
電磁波と波長
電磁波の中に、光、高周波、超音波が含まれる
光の中に紫外線、可視光線、赤外線が含まれる
これらはすべて、波長というもので分類される
光治療とレーザー治療の違い
光のたくさんの波長の中から一つの波長だけを取り出して使用するのがレーザー
いろんな波長を取り出して使うのが光治療
レーザー、光治療を理解するためのキーワード
波長 (上で説明済)
パルス幅
パルス幅は、1ショットあたりの照射時間
パルス幅
短い 長い
ピコ秒 ナノ秒 マイクロ秒 ミリ秒
10⁻¹²秒 10⁻⁹秒 10⁻⁶秒 10⁻³秒
Qスイッチ ショートパルス ロングパルス
波長の違いが何に影響するか
吸収率が変わる
波長が短いほどよく吸収される
(メラニンの場合)
届く深さが変わる
波長が長いほど奥まで届く
例:紫外線による皮膚ダメージ
赤外線による温熱効果
パルス幅の違いが何に影響するか
パルス幅が短い パルス幅が長い
強さ 強い
焼く、焦がすイメージ 弱い
温めるイメージ
広がり 狭い
熱が広がりにくい
一点に集中させやすい 広い
熱が広がりやすい
広範囲に熱影響が及ぶ
ここまでは光の波長帯の機械の特徴
超音波、高周波治療は後述
各治療機器について
ジェントレーズプロ
アレキサンドライト
波長 755
メラニンの吸収度比較的高い
ヘモグロビンの吸収度は低いため、メラニンに選択的にエネルギーを与えやすい波長
パルス幅 0.25ミリ秒~100ミリ秒
ロングパルスであるため、熱が広がる
効率的に毛母細胞までダメージを与えやすい
トライビーム
YAGレーザー
シミ取り(ドクター処置)
波長 532
メラニンの吸収度非常に高い
しみ、ほくろ等の色素性病変に高い反応をする
深い層のシミには反応弱い
ヘモグロビンの吸収度も高いため、出力を上げると内出血する
パルス幅 7ナノ秒
短いパルス幅のため、周辺への熱影響を最小限にできる
トーニング (1064TN)
波長 1064
深い層まで届くため、肝斑等のシミに効果的
メラニンの吸収度は低いため、切れ味は悪い
刺激で悪化する性質を持つ肝斑に対して安全に照射できる
パルス幅 7ナノ秒
短いパルス幅のため、周辺への熱影響が少ない
肝斑等への刺激を最小限にできる
GENテクニック (1064GN)
波長 1064
真皮層まで届くが、メラニンへの吸収度は低いため、
しみに対して効果を出すものではない
真皮層に熱が程よく広がり、コラーゲン等の引き締め
作用をもたらす
パルス幅 300マイクロ秒
トーニングと波長は同じだが、パルス幅が長いため
ピーク出力が低い回数かけて少しずつくすみを取るイメージ
フォトフェイシャル(M22)
光治療器
カットフィルターを使いわけることで、1台でさまざまな効果を出すことができる
よく使用するのは560、590、695
スキンタイプ、標的病変を選択すると、パラメータ(波長、パルスタイプ、フルエンス)が自動で設定される
指示されたフィルターを装着する
例えば、560のフィルターを装着すると、560より短い波長はカットされる
日光黒子(1パス目)
波長 560
メラニンの吸収度が非常に高い波長を照射できる
しみ、ほくろ等の色素性病変に高い反応
薄いシミ(深いシミ)には反応弱い
顔全体を照射するため、全体のスキントーンが暗いと、シミじゃない皮膚にもよく反応してしまうおそれあり
スキントーンが明るい、しみが濃い(コントラストが強い)ほど良い反応が出やすい
ロングパルスなのでQスイッチほどの切れ味はないが、表層の小さい濃いシミには反応良い
肝斑が明らかな部位に照射を続けると、肝斑が悪化する恐れがある
赤ら顔(2パス目)
波長 590
ヘモグロビンの吸収度が高い波長のため、毛細血管拡張などの赤ら顔に対して効果が出せる
メラニンの吸収度も高い(560に比べたら低いけど)ので、さきに560でシミに反応をさせておいてから590のフィルターを使用する
スキントーンが暗い方の場合は、赤にも反応するけど黒にも反応してしまうので効果出にくい
肝斑(1パス目)
波長 695
肝斑がある部位には560は使用せず、1パス目から695フィルターを使用する
代謝促進モード(2パス目)
波長 695
メラニンの吸収度はだいぶ低くなっている波長のため、メラニンへの反応は弱くなっている
真皮層に熱影響を与えてコラーゲン等の引き締め作用をもたらす
メラニンに反応する波長はカットされているので、肝斑がある部位にも照射は可能(肝斑を治療するモードではない)
ウルトラセルQプラス
超音波治療
病院で使うエコーと同じ原理
皮膚の表面にはダメージを与えず、一定の深さのみに点状に熱を与えることができるのが大きな特徴
たんぱく質変性(初期変化)~タンパク質再合成(3カ月ぐらい)という、2段階に分けての変化をもたらす
Qプラスは、3段階の違う深さにアプローチできるのが大きな特徴
4.5ミリ(皮下脂肪層~筋膜) 3ミリ(皮下脂肪層) 1.5ミリ(真皮層)
水平方向の収縮作用をもたらす
4.5ミリ、3ミリという深さに熱影響を与えられる照射機はHIFUならでは
違う層をそれぞれ引き締めることができる
下顔面の深い層を引き締めることで、顔全体としてみた時にリフトアップ効果が出せる
中顔面の浅めの層を引き締めることで、たるみ毛穴を引き締めることができる
GFR
高周波治療
電子レンジと同じ種類の電磁波 ラジオ波とも呼ばれる
HIFUと違って、垂直方向への収縮作用が発生する
皮膚表面から熱がゆっくりと奥に伝わっていくので、熱さを感じる
高周波の温熱効果で皮下脂肪のタンパク質(コラーゲンなど)を垂直方向に変性させる
HIFUとは違う方向への収縮なので、併用すると効果よりUP
照射時は、出力の調整、チップをスライドさせる、冷却する、などの工夫をして照射していく
毛穴治療の考え方
毛穴が目立つ原因としては、下記のようなものがあげられる
つまり毛穴・・・皮脂、角質のつまり(角栓)が原因
開き毛穴・・・つまり毛穴に、紫外線ダメージ等が重なって皮膚の代謝が落ちていることが原因
たるみ毛穴・・・真皮のコラーゲン等の減少が原因
つまり毛穴、開き毛穴の治療の原則は、皮膚の再生
皮膚をいったん傷つけて、それが治る過程で皮膚が再生されることを利用する
薬剤の効果で皮膚を傷つける
ケミカルピーリング
ハイドラフェイシャル
針で直接皮膚に穴をあけて傷つける
ダーマペン
イントラセル
水光注射
たるみ毛穴の治療は、引き締め
たるみ毛穴を熱作用で引き締める
HIFU
GFR
GENテクニック
フォトフェイシャル
たるみ毛穴を物理的に引き締める
糸リフト
ヒアルロン酸
ケミカルピーリング
薬剤によって、濃度によって深達度が大きく異なる
① 最浅層ピーリング (角質層まで)
② 浅層ピーリング (顆粒層から基底層まで)
20~35%サリチル酸 20~35%グリコール酸 10~20%トリクロロ酢酸
③ 中間層ピーリング (表皮と真皮乳頭層の一部または全部)
50~70% グリコール酸 35~50%トリクロロ酢酸
④ 深層ピーリング (表皮と真皮乳頭層および網状層に及ぶ)
ベーカーゴードン液、フェノール
深達度が深くなると、効果が出やすいが、赤み、表皮剥離なども出やすくなる
当院で現在使用しているのは、サリチル酸マクロゴール
サリチル酸
薬理作用
消炎鎮痛作用
サリチル酸をそのまま服用すると消化器障害の副作用が強く出る。副作用を改善するために開発されたのがアセチルサリチル酸(アスピリン)
皮膚刺激作用
そのサリチル酸の刺激作用を利用したのがサリチル酸ピーリング
サリチル酸エタノール
皮膚の3,4mmまで浸透し、血中に入ってサリチル酸中毒を起こす危険があるため現在は使用されていない
サリチル酸マクロゴール
マクロゴールを基剤とすることで、角質層にとどまり、安全性が高く行うことができる
一般的な化粧品では2%まで、医療用のピーリング剤は10~30%といった濃度で用いる
効果
角質を除去することで毛穴が塞がるのを抑制 (白ニキビに有効)
皮脂の分泌抑制(赤白ニキビに有効)
抗炎症作用(赤黒ニキビに有効)
角質剥離時に種々のサイトカインが放出され、コラーゲン増殖(ニキビ跡の凹凸改善)、メラニンの排出促進(シミの改善)などの効果もある
一度の効果は弱い。
何回も繰り返すことで徐々にニキビができにくいお肌を改善していきましょうというイメージ
参考
αヒドロキシ酸(AHA フルーツ酸)の仲間
グリコール酸(サトウキビ、パイナップルに含まれる)乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸
βヒドロキシ酸の仲間
サリチル酸
トリクロロ酢酸
非常に強い酸で、腐食性を持つ
深いニキビ跡に効果をもたらすが、時間がかかる
顔全体への施術は肌の負担が強い
マッサージピール
トリクロロ酢酸を使用しているが、過酸化水素水を混合して、表皮へのダメージを押さえている(機序不明)
そのため、表皮(毛穴)へのアプローチというよりは、真皮へのアプローチで小じわを伸ばしたり引き締めたりする目的で使用する
当院では現在、ダーマペンとの併用のみで使用している
ハイドラフェイシャル
使用しているピーリング剤はグリコール酸(7.5%)なので、ピーリング効果としては弱い
角質や皮脂を軟化させる⇒ピーリング剤で角質を剥離させる⇒剥離した角質を吸引、保湿⇒美容液導入
というの一連の流れを一度に行うことができるのがハイドラフェイシャルならではの特徴
効果
毛穴の洗浄
ピーリング効果
美肌効果
肌のざらつきがなくなり、ツルっとする感じがすぐにわかる
効果の実感が早いのがメリット
黒ずみがなくなるわけではない
ピーリング作用は弱いので、他の治療をメインにしつつたまにハイドラでお掃除、という勧め方でよいかも
ダーマペン、イントラセル、水光注射
どれも、皮膚に細かい穴をあけるという点では似ている
共通点:ダウンタイムが出る
麻酔クリーム必要
ダーマペン イントラセル 水光注射
穴の数 1秒に1920? 1ショット49個 1ショット9個
方法、特徴 穴が開いた皮膚に薬剤塗布 針の先端から高周波 針の先端から薬剤注入
到達する深さ 当院では0.8ミリが標準 2ミリ~0.5ミリ 当院では0.8~1.2ミリ
侵襲の強さ 中 大 小
効果 にきびあと、毛穴、肌質改善 にきびあと、毛穴 保湿、ハリ改善
特徴 針の深さを調節して、ダウンタイムや効果に変化を持たせることが可能 効果は一番高いが、施術中の痛み強く、ダウンタイムは長め 皮内に薬剤を均一に注入できるのは水光注射ならではの作用
それぞれの持ち味は
ダーマペン
表皮から真皮浅層の強い皮膚再生効果
ベルベットスキンは、ダーマペンの針による皮膚再生作用とマッサージピールの薬剤による皮膚再生作用の相乗効果が得られる治療
イントラセル
表皮には熱影響を与えず、真皮深層~浅層への熱影響(高周波) ➡ 皮膚再生効果
↑CO2レーザー等との違い
水光注射
真皮内に直接薬液を注入できる